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空調についての豆知識

空調についての豆知識

エアコンの原理

液体は、蒸発するときに周囲から多量の熱を奪います。 エアコンは、この性質を利用して空気を冷やします。逆に気体から液体になる時には、多量の凝縮熱を放出します。 この原理をうまく利用して冷媒を蒸発・凝縮させ、空気を冷やしたり暖めたりします。 言い換えれば蒸発器で周囲の空気から吸収した熱を冷媒に取り込み、少ないエネルギーで凝縮器に運び、 取り込んだ熱と圧縮で発生した熱を周囲の空気へ放出しているのです。

冷暖房のしくみ

・圧縮機で圧縮され高温高圧になった気体冷媒は、室外機の熱交換器で周囲の空気によって冷却され、液化します。
 (冷媒は、圧力が高いと高い温度でも凝縮します。)
・高温高圧の液体冷媒は膨張弁で減圧され、低温低圧の液体冷媒になります。
・減圧され気化しやすくなった液体冷媒は室内機の熱交換器で蒸発して周囲の熱を奪います。
 (冷媒は、圧力が低いと低い温度でも蒸発します。)
・低温低圧の気体冷媒は圧縮機に送られます。

※冷暖房の切替は、四路切替弁により冷媒の流れを逆にしています。

フロン類の歴史

フロンが開発される以前の冷蔵庫にはアンモニアが冷媒として使用されていましたが、 毒性や可燃性があり、扱いやすい代替品が求められていました。

1928年、ゼネラルモーターズ社はCFCの開発に成功し特許を取得しました。 フロンは化学的に安定であったため、「夢の化学物質」としてエアコンや冷蔵庫に使われてきました。

1970年代になりフロン類によるオゾン層の破壊が問題となり、1985年には「オゾン層保護のためのウィーン条約」が、 1987年には「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択され、製造や輸入の禁止が決定されました。 これにより CFC やHCFCの代わりとしてオゾン層を破壊しない HFC が利用され始めました。

1990年代には、CFC の他、 HCFC や HFC も温室効果ガスとして問題になり、規制が行われております。

フロン類の種類

蛍石は、フッ化カルシウム(CaF2)が主成分の鉱物でフロンの原料となりますが、世界の生産量の約60%が中国で生産され、 現在では原料のままでの輸出を制限しており、中国国内で製品化しております。 フロンの構造は、「水素 (H)」、「フッ素 (F)」、「炭素 (C)」、「塩素 (Cl)」の4つの元素の組合せによって、以下の3種類に分類されます。
CFCはクロロフルオロカーボン(Chloro Fluoro Carbon)の略で、塩素(Cl)、フッ素(F)、炭素(C)をもっており、 塩素を含むためオゾン層破壊の程度が高い物質です。 HCFCはハイドロクロロフルオロカーボン(Hydro Chloro Fluoro Carbon)の略で、CFCに水素(H)を加えており、 塩素を含んでいますが水素があるためオゾン層破壊の程度が低い物質です。 HFCはハイドロフルオロカーボン(Hydro Fluoro Carbon)の略で、フッ素(F)と水素(H)、炭素(C)をもち、塩素(Cl)をもたないため、オゾン層の破壊をしません。

CFCはクロロフルオロカーボン(Chloro Fluoro Carbon)の略で、塩素(Cl)、フッ素(F)、炭素(C)をもっており、 塩素を含むためオゾン層破壊の程度が高い物質です。



HCFCはハイドロクロロフルオロカーボン(Hydro Chloro Fluoro Carbon)の略で、CFCに水素(H)を加えており、 塩素を含んでいますが水素があるためオゾン層破壊の程度が低い物質です。



HFCはハイドロフルオロカーボン(Hydro Fluoro Carbon)の略で、フッ素(F)と水素(H)、炭素(C)をもち、塩素(Cl)をもたないため、オゾン層の破壊をしません。


フロン排出抑制法とは?

「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収・破壊法)」が2002年に施行され、 業務用冷凍・空調機器の廃棄時には、充填されているフロンを回収し破壊をすることとされておりましたが、 回収率は約3割と低水準に留まっていることから、2007年に一部法改正されました。 しかし、回収率は上がらず、2009年の調査により使用時の漏えい量が予想以上に多いことも問題となりました。

こうしたことから、フロン類のライフサイクル全体にわたる包括的な対策を講ずるため、 名称を「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」と改め、2015年4月に施行されました。

法改正により、機器の所有者(管理者)は、業務用冷凍空調機器の適正な管理とフロン類の排出抑制に努めなければなりません。

機器の管理者の義務

すべての業務用冷凍空調機器について、3ヶ月に1回以上のユーザー等による簡易点検が必要となり、簡易点検に加えて圧縮機の定格出力が下記に該当する機器は、 十分な知見を有する者(冷媒フロン取扱技術者等)による定期点検が義務化されました。
フロン類の漏えいが見つかった際、管理者は、可能な限り速やかに漏えい箇所を特定し、修理を行います。 漏えいが見つかった場合、修理をしないでフロン類を充填することは原則として禁止(繰り返し充填の原則禁止)されており、 フロンの充填や回収は、都道府県に登録された「第一種フロン類充填回収業者」が行いますので、「回収証明書」「充填証明書」を受け取り保管してください。


機器の点検・修理やフロン類の充填・回収など、機器の整備時には、機器ごとに記録簿に履歴を記録し、機器の廃棄まで保存しなければなりません。 専門業者に整備を依頼し、記録簿に整備内容を記入してください。


法人又は個人を単位として保有する機器からの漏えいしたフロン類の量が、 二酸化炭素換算で年間1,000 トン以上となる事業者(管理者)は、事業を所管する大臣に報告する義務があります。 なお、算定漏えい量は、整備の際に充填回収業者が交付する充填・回収証明書から把握されるフロン類の漏えい量(実漏えい量)と地球温暖化係数(GWP)を用いて算出されます。


管理者は、機器の損傷などを防止するため、周辺に振動する機器がない適切な場所への設置に配慮してください。


業務用冷凍空調機器を廃棄する時には、フロンを回収し適切に処理をしなければなりません。 回収は「第一種フロン類充填回収業者」に依頼し、「行程管理表」を交付しなければなりません。 また、フロンが適正に処理されたことを「破壊証明書」「再生証明書」で確認してください。 「第一種フロン類充填回収業者」から交付された「引取証明書」は3年間保存してください。


機器の故障を発見したときには、大部分のフロンが漏えいしていることがあり、能力低下や被害の拡大を防ぐため、 点検・整備に精通した冷媒フロン類取扱技術者等による定期点検と予防保全措置の実施が有効です。

漏えい点検・修理の手順
1.システム漏えい点検
目視などによる冷媒系統全体の外観点検
2.間接法による点検(運転診断)
圧力・温度・運転電流などの運転状態から漏えいの有無を診断
3.直説法による点検
漏えい箇所を特定するための点検(発泡液法、電子式ガス漏洩検知法、蛍光剤法など)
4.漏えい箇所の修理
冷媒回収の上、漏えい箇所の修理を行い、完了後、システム漏えい試験(気密試験・加圧漏えい試験・真空試験)により確認
5.点検修理結果の記録
記録簿に点検修理の結果を記録


中央空調では、空気創りのプロとして、法で定められた点検を実施するための「冷媒フロン類取扱技術者」資格を多くの従業員が取得し、 ご依頼により定期漏えい点検を実施させていただいており、「フロン排出抑制法」に関するご質問・ご相談にもお応えさせていただきます。